まだ知らない一面を
貴方はずっと隠してる
私を側に、あなたの側に
ずっとずっと近くにいたい
後ろにおいて?







* 後ろにおいて *










「ルイ!」



二階の窓から見えた幼馴染は何時ものようにノンヘルでバイクに跨る

葉柱ルイ

彼は真向かいの私の部屋をほんの一瞬だけ見るとエンジンをふかして

何も言わずにあっという間に彼は去って行った


ねぇ、いつも拭いてるそのバックシートは誰の為にあるの?

ねぇ、貴方の笑顔は誰に向けられるの?

その全てを私に

貴方の心が私に向いてくれたなら......


は 

ほぅ と溜め息を吐くと紺色のコートを羽織って外に出た

季節は初冬を迎えていた

フューと北風が の甘栗色の髪を撫でる

きっと明日のイヴは誰も居ない

父も母も、きっと夜遅くまで残業残業

誰も居ない部屋でこれから受け取るおっきなバースデイケーキと

クリスマスケーキを食べるんだ

哀しくないよ、だって仕事だもん





街はクリスマスムード満天

すれ違う人々は甘い空気を漂わせ、口々に愛を語る

そんな中、 は一人...別に愛を囁いて欲しい訳じゃない

言葉なんて何にもならないから

でも、でも...



「ッカ  、こんな所で何してんだ」



が街のショーウィンドーを除き込んでいる時

後ろから声がかかった

振り向けば予想した人物



「ルイ...」

「何してんだ」

「明日のケーキを受け取りに来たんだけど、
まだ予約した時間より早くって」

「あぁ?明日?  ああ、明日は の誕生日か」

「良く覚えてたね」

「一応幼馴染だかんな...で?暇なのか?」

「まぁ...ね」

「ふぅん、ッカ、じゃあ行くか」

「へ?何処に?」

「外で待ってる気かよ」

「あ....イヤ」



繋いだ手はじわぁと暖かみを増して


ねぇ、ルイ...カメレオンって変温動物でしょ?

あぁ、心が冷たいのかな?

まさかね...だって、こんな人込みの中で私を見つけてくれた

たまたまかな?

いっか、ありがとう





イヴの朝、 の部屋の窓に小さな音が上がった

は寒い外気を吸い込み身震いしたが

下に入る人物を見て一気に感覚が解らなくなった



「ルイ...?」

「ッカ!プレゼント、なんも用意してねぇ」

「......」

「なんだよ、期待してた訳じゃねぇだろ?」

「当たり前......待ってて、すぐ行く」



タタタタタと階段を駆け降りて玄関を開けよう

そしたらきっと彼が笑って待っている



「おはよ、ルイ」

「おう」

「全く、プレゼントも用意しないで誕生日の人に会いに来るなんてね」

「なんだよ、やっぱ欲しいのか。」

「...ううん、要らないよ」

「もの欲しそうな顔してやがる」

「うん、欲しいもん」

「どっちだ」

「じゃあ...プレゼントの代わりに..後ろにおいて?」

「は?」



バイクが通る

海はきっと寒いだろう

粉雪が降ってきた

後ろに乗るのは私だけで良いんだから



ねぇ、後ろにおいて?ずっとずっと

ねぇ?


...ッカ!勝手にすれば良い



Fin









=アトガキ=

ルイ夢でぇす!
突発的に思い付いて書きました
ちょっとワケわかんない......
いいじゃん、別に
だって今日は金曜日、皆様が休日だぁ〜と喜ぶ前日
こんなお話もアリですって
それでわ、このへんで